ケアマネ業務はどう変わった?2024年度介護保険制度改正のポイント
- 2025年5月18日

2024年度の介護保険制度改正により、ケアマネジャーの業務はどのように変わったのか気になるところです。
今回の改正では、ICTの活用推進など、業務の効率化や負担軽減を目的とした変更がたくさん盛り込まれています。
現場のケアマネジャーにとって、これらの変更が実務にどのような影響を与えるのか、具体的なポイントを押さえておくと安心です。
この記事では、改正のおもなポイントと業務への影響についてわかりやすく解説します。
2024年度介護保険制度改正とは|背景と目的

2024年度の介護保険制度改正は、高齢者が増え続ける中で、介護のしくみを安定して継続させるために行われました。
介護を必要とする人が増加し、介護を支える人や財源の確保が課題になっています。
このような背景から、2024年の改正では次のような目標がかかげられました。
- サービスの適正な利用
- ケアマネジャー業務の効率化
- ICT(パソコンやタブレットなど)の活用推進
これにより、利用者と介護現場双方の負担軽減が期待されています。
ケアマネ業務にかかわるおもな改正ポイント

2024年度の介護保険制度改正では、ケアマネジャーの業務にかかわるいくつかの変更が行われました。
ケアプラン作成ルールの見直し
生活援助サービスの利用について、より適正な計画が求められ、不必要なサービス利用を防ぎ、本当に必要な支援が行き渡ることがめざされています。
「軽微な変更」(例:サービス提供時間や頻度の小規模な変更、利用者の生活状況に大きな変化がない場合など)に該当する場合、再アセスメントやケアプラン再作成などの手続きを省略できるようになりました。
これにより、ケアマネジャーの事務負担が軽減されます。
ICT活用の推進
またICTの活用が推奨され、業務効率化が進められています。
- ケアプランデータ連携システム:デジタルツールを活用してケアプラン作成や管理を効率化
- オンライン会議:サービス担当者会議などをオンラインで実施(移動時間の短縮・遠隔地の専門家とも連携可能)
これによりケアマネジャーにとっては、業務の効率化が期待される一方、オンライン対応も求められます。
ケアマネジャー1人あたりの担当件数が増えた
2024年度の改正により、ケアマネジャーが担当できる利用者の上限が増やされました。
【居宅介護支援費(Ⅰ)】
- (ⅰ)40未満→45未満へ
- (ⅱ)40以上60未満→45以上60未満へ
【居宅介護支援費(Ⅱ)】(ケアプランデータ連携システムを活用+事務職員を配置している場合)
- (ⅰ)45未満→50未満へ
- (ⅱ)45以上60未満→50以上60未満へ
また、要支援者数の算定方法が1/2換算から1/3換算へ変更となり、より多くの要支援者を担当できるようになりました。
このように担当件数が増えたため、ケアマネジャーの業務負担が増える可能性もありますが、同時に業務の効率化も求められています。
ケアプランデータ連携システムの活用で事務作業の簡素化が進めば、ケアの質を維持しながら対応できるようになるはずです。
今後は、限られた時間のなかで、より効率的に業務を進める工夫が必要となるでしょう。
介護報酬引き上げと処遇改善加算
2024年度の介護報酬改正では、全体的に1.59%引き上げられました(0.98%が介護職員等の処遇改善、0.61%が本体部分)。
その中でケアマネジャーも報酬アップの対象となっていますが、処遇改善加算はおもに介護現場全体での優先順位から介護職員向けとなっており、ケアマネジャーには直接適用はされません。
その大きな原因は、財源不足や、ケアマネジャーの職務内容や評価方法など制度の課題があります。
しかし、ケアマネジャーが受け持つ仕事の多さや責任の重さから、将来的には報酬の引き上げを求める声が多いのが現状です。
今後の改正で、引き上げとなる可能性は考えられるでしょう。
制度改正への対応|ケアマネジャーはより効率的な業務の見直しを

2024年度の介護保険制度改正に対応するため、ケアマネジャーは業務の進め方を工夫する必要があります。
パソコンやタブレット端末などのICTでできることは、ツールにまかせることで手作業だった書類作成などの業務を効率化できます。
また、ケアプランデータ連携システムを活用することで、これまでかかっていた事務作業が簡素化され負担を軽減させられるでしょう。
時間管理を見直すことで、ご利用者やその家族への対応により多くの時間をかけられるようになります。
これらの取り組みにより、担当件数が増加しても質の高いケアマネジメントを維持することが可能です。
ケアマネジャーには、これまでの業務を見直し、より効率的に作業を進める努力が求められています。