高齢期を迎えた夫婦にとって、将来の生活設計は重要な課題です。
老人ホームへの入居を検討する際、夫婦で同室に住むことができるか気になる方も多いでしょう。
本記事では、夫婦同室で入居するメリット・デメリットを中心に、選択肢や注意点について詳しく解説します。
夫婦同室で入居できる老人ホームの種類
夫婦同室で入居するメリット・デメリットを考える前に、まず選択肢となる施設について理解しましょう。
ここでは以下の点について解説します。
- 2人部屋がある施設の特徴
- 公的施設と民間施設の違い
- 民間施設の選択肢と特徴
2人部屋がある施設の特徴
2人部屋がある施設の特徴として、夫婦で生活空間を共有できる点が挙げられます。
一般的に、2人部屋は1人部屋よりも広めの設計になっており、プライバシーにも配慮されています。
ただし、すべての老人ホームに2人部屋が設置されているわけではありません。
夫婦同室の2人部屋の広さは施設によって異なりますが、多くの場合20〜30平方メートル程度です。
ベッドやクローゼット、テレビなどの基本的な設備が備え付けられており、小さな応接セットやテーブルを置くスペースもあることが多いです。
公的施設と民間施設の違い
夫婦同室で入居する公的施設と民間施設の違いは、運営主体や入居条件、費用面などに表れます。
項目 | 公的施設 | 民間施設 |
---|---|---|
運営主体 | 自治体・社会福祉法人 | 民間企業 |
入居費用 | 比較的安価(月額10万円前後) | 高め(月額15〜30万円程度) |
入居条件 | 厳しい(要介護3以上など) | 比較的緩やか |
待機期間 | 長い傾向 | 比較的短い |
サービスの選択肢 | 限定的 | 豊富 |
夫婦同室入居 | 難しい | 可能な施設が多い |
夫婦同室で入居する公的施設と民間施設の違いは、運営主体や入居条件、費用面などに表れます。
公的施設は比較的安価ですが、入居条件が厳しく待機者も多い傾向があります。
一方、民間施設は費用は高めですが、サービスの選択肢が豊富で入居のハードルも低めです。
民間施設の選択肢と特徴
民間施設の選択肢と特徴は多岐にわたります。
主な種類として、以下の3つが挙げられます。
- 介護付き有料老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
民間施設は、夫婦での入居にも対応していることが多く、2人部屋の選択肢もあります。
夫婦同室で入居するメリット
夫婦同室で入居するメリット・デメリットの中で、まずはメリットに注目しましょう。
以下の3つのメリットについて詳しく解説します。
- 二人だけの時間を大切にできる
- 子供世代の心配や負担を軽減
- 費用面でのメリット
①二人だけの時間を大切にできる
夫婦同室で入居するメリットの一つ目は、二人だけの時間を大切にできることです。
長年連れ添った夫婦にとって、慣れ親しんだ生活リズムを維持できる環境は心強い支えとなります。
プロの介護サービスを受けながら、夫婦水入らずの時間を過ごせるのは大きな魅力です。
②子供世代の心配や負担を軽減
夫婦同室で入居するメリットの二つ目は、子供世代の心配や負担を軽減できることです。
親が夫婦で老人ホームに入居することで、子供は両親の安全や健康管理の心配から解放されます。
また、介護の負担も軽減されるため、子供世代は自身の生活に集中できるようになります。
③費用面でのメリット
夫婦同室で入居するメリットの三つ目は、費用面での利点です。
一般的に、2人部屋1室を契約する方が、1人部屋を2室契約するよりも割安になります。
ただし、施設によって価格設定は異なるため、複数の選択肢を比較検討することが重要です。
また、光熱費や共益費などの生活コストも2人で負担することができるため、さらなる経済的メリットがあります。
夫婦同室で入居するデメリット
夫婦同室で入居するメリット・デメリットには、注意すべき点もあります。
ここでは以下の2つのデメリットについて詳しく解説します。
- 生活空間の共有によるストレス
- 将来的な住み替えのリスク
①生活空間の共有によるストレス
夫婦同室で入居するデメリットの一つ目は、生活空間の共有によるストレスです。
2人部屋とはいえ、限られた空間で常に一緒に過ごすことになるため、お互いのプライバシーが保ちにくくなる可能性があります。
生活リズムの違いや趣味の違いが顕在化し、ストレスの原因となることもあります。
施設内の共用スペースを上手に活用することで、適度な距離感を保つことも可能です。
②将来的な住み替えのリスク
夫婦同室で入居するデメリットの二つ目は、将来的な住み替えのリスクです。
どちらかが入院したり、亡くなったりした場合、残された配偶者は2人部屋に1人で暮らすことになります。
経済的な負担が大きくなるため、新たな住み替えを検討する必要が生じる可能性があります。
将来的な住み替えのリスクを軽減するためには、入居時から将来的な変化を想定し、柔軟に対応できる施設を選択することが重要です。
また、経済的な備えとして、住み替えに備えた貯蓄を行っておくことも検討すべきでしょう。
夫婦同室入居を検討する際の注意点
夫婦同室で入居するメリット・デメリットを理解した上で、具体的な注意点を押さえましょう。
ここでは以下の2点について詳しく解説します。
- 2人部屋は埋まりやすい
- 夫婦の介護度の差による入居制限
2人部屋は埋まりやすい
夫婦同室で入居できる2人部屋は埋まりやすい傾向にあります。
老人ホームの2人部屋は全体的に数が少なく、人気も高いため、空室を見つけるのが難しい場合があります。
希望の施設があれば、早めに問い合わせや申し込みをすることをおすすめします。
具体的な対策としては、以下のようなものが考えられます。
複数の施設に同時に申し込みを行う
- キャンセル待ちリストに登録しておく
- 一時的に1人部屋を2室契約し、2人部屋の空きを待つ
- 入居希望時期の半年から1年前には施設探しを始める
また、施設によっては季節や時期によって空室状況が変動することもあるので、定期的に問い合わせを行うことも効果的です。
夫婦の介護度の差による入居制限
夫婦の介護度の差による入居制限は、重要な注意点です。
夫婦同室で入居できる施設によっては、夫婦の介護度の差が大きい場合、同室入居を断られることがあります。
特に、どちらかが自立認定の場合は、入居できる施設の選択肢が限られてしまう可能性があります。
夫婦同室入居の準備と検討時期
夫婦同室で入居するメリット・デメリットを踏まえ、適切な準備と検討時期について考えましょう。
ここでは以下の2点について詳しく解説します。
- 早めの情報収集と計画立案の重要性
- 夫婦間での十分な話し合いの必要性
早めの情報収集と計画立案の重要性
夫婦同室で入居したい場合、早めの情報収集と計画立案はとても重要です。
老後の生活設計は、できるだけ早い段階から始めることが大切です。
65歳頃を目安に、夫婦で老人ホームへの入居について考え始めるのがよいでしょう。
希望の施設や条件を見つけやすくなり、余裕を持って準備を進められます。
具体的な準備のステップとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 老人ホームの種類や特徴
- 自分たちの経済状況の確認と予算設定
- 希望する地域や環境の明確化
- 必要なサービスや設備のリストアップ
- 複数の施設の見学と比較
- 入居に必要な書類や手続きの確認
夫婦同室で入居の準備を早めに始めることで、じっくりと検討する時間が確保でき、後悔のない選択につながります。
また、経済的な準備も並行して進めることができ、より多くの選択肢の中から最適な施設を選ぶことが可能になります。
夫婦間での十分な話し合いの必要性
夫婦間での十分な話し合いの必要性も忘れてはいけません。
老後の生活について、お互いの希望や不安を率直に話し合うことが大切です。
同室で過ごすことへの期待や懸念、個人の時間の過ごし方など、具体的なイメージを共有しておくことで、より良い選択につながります。
まとめ
夫婦同室で入居するメリット・デメリットを考慮しながら、老人ホームの選択を進めることが重要です。
メリットとしては、夫婦水入らずの時間を過ごせることや、子供世代の負担軽減、費用面での利点が挙げられます。
一方で、生活空間の共有によるストレスや、将来的な住み替えのリスクといったデメリットもあります。
2人部屋の需要が高いことや、夫婦の介護度の差による入居制限にも注意が必要です。
また、夫婦間での十分な話し合いを通じて、お互いの希望や不安を共有し、理想の老後生活のイメージを明確にすることが大切です。