人生の最期を穏やかに過ごすことは、多くの方の願いです。
看取り可能な施設を選ぶことは、その願いを叶える重要な一歩となります。
本記事では、看取り可能な施設のポイントや選び方について詳しく解説します。
適切な施設選びを通じて、尊厳ある生活の継続と、心安らかな最期を迎えるための情報をお伝えします。
看取り可能な施設を選ぶ際の6つの重要ポイント
看取り可能な施設のポイントは、入居者とその家族にとって重要な選択基準となります。
以下の6つのポイントを確認することで、より適切な施設選びが可能になります。
- ①体調急変時の対応能力
- ②看取りの実績
- ③施設内の連携体制
- ④本人と家族への寄り添い方
- ⑤取り介護の方針
- ⑥死後の対応
①体調急変時の対応能力
体調急変時の対応能力は、看取り可能な施設を選ぶ際の重要なポイントです。
終末期には体調の急変が起こりやすいため、迅速かつ適切な対応が求められます。
多くの施設では、看護職員によるオンコール体制や、医療機関との連携体制を整えています。
②看取りの実績
看取りの実績は、施設の経験値を示す重要な指標です。
看取りの経験が豊富な施設では、様々な状況に対応できる可能性が高くなります。
施設見学や相談の際には、年間の看取り件数や、入居者と同様の症状を持つ方の看取り実績について質問することをおすすめします。
③施設内の連携体制
施設内の連携体制は、質の高い看取りケアを提供する上で欠かせません。
スタッフ間で入居者の状態や生活記録が適切に共有されているか、情報伝達のシステムはどうなっているかなどを確認しましょう。
④本人と家族への寄り添い方
本人と家族への寄り添い方は、看取り可能な施設を選ぶ際の重要なポイントです。
看取り介護では、入居者本人だけでなく、家族へのケアも重要となります。
施設が入居者と家族の希望をどのように聞き取り、ケアに反映しているかを確認しましょう。
⑤看取り介護の方針
看取り介護の方針は、施設によって異なる場合があります。
施設の看取りに対する考え方や具体的な取り組みについて、詳しく聞くことが重要です。
施設の方針が、入居者や家族の希望する最期の迎え方と合致しているかを慎重に検討することが大切です。
⑥死後の対応
死後の対応は、看取り可能な施設を選ぶ際に見落とされがちなポイントです。
しかし、この点も重要な選択基準の一つとなります。施設によっては、エンゼルケア(死後の身体を清める等のケア)を行ったり、施設内で葬儀から火葬までの手続きをサポートしたりする場合があります。
看取り可能な施設とは
看取り可能な施設のポイントを理解するには、まず看取り介護の定義を知ることが重要です。
看取り介護とは、全国老人福祉施設協議会によると下記のように定義されています。
「近い将来、死が避けられないとされた人に対し、身体的苦痛や精神的苦痛を緩和・軽減するとともに、人生の最期まで尊厳ある生活を支援すること」
また、看取り介護を行う施設は、介護保険法で定められた条件を満たしている必要があります。
条件には、常勤の看護師の配置や24時間の連絡体制の確保、看取りに関する指針の策定と説明、職員研修の実施などが含まれています。
看取り介護の具体的な内容
看取り可能な施設のポイントを理解するためには、看取り介護の具体的な内容を知ることが重要です。
- 身体的ケア
- 精神的ケア
- 家族への支援
3つの構成について詳しく解説します。
身体的ケア
身体的ケアは、看取り介護において重要な要素です。
入居者の身体的な苦痛を軽減し、できる限り快適に過ごせるよう以下のようなサポートがあります。
- 食事と水分補給のサポート
- 排泄介助
- 褥瘡予防のための体位変換
- 口腔ケア
- バイタルサインの管理。
また、痛みや不快感の緩和、清潔保持のための入浴や清拭も重要です。
精神的ケア
精神的ケアは、看取り介護において非常に重要な役割を果たします。
終末期の不安や恐怖を和らげ、穏やかな気持ちで過ごせるようサポートすることが目的です。
傾聴と共感的なコミュニケーション、不安や恐怖の軽減のための声かけ、スキンシップによる安心感の提供などが含まれます。
また、生きがいや楽しみの支援、プライバシーの保護と尊重、静かで落ち着ける環境の整備も重要です。
家族への支援
家族への支援も、看取り介護の重要な一部です。
家族も大きな不安やストレスを抱えていることが多いため、適切なサポートが必要となります。
具体的には、以下のようなサポートなどが含まれます。
- 入居者の状態に関する定期的な情報提供
- 看取りのプロセスや予測される変化の説明
- 家族の気持ちに寄り添う傾聴と精神的
また、以下のような実務的なサポートも重要です。
- 面会や付き添いのための環境整備
- 看取りに関する意思決定のサポート
- グリーフケア(死別後のケア)の提供
- 事務手続きなど
家族が安心して看取りに参加し、大切な時間を過ごせるようサポートします。
看取り対応が可能な主な施設タイプ
看取り可能な施設のポイントを理解するためには、どのような施設で看取り介護が行われているかを知ることが重要です。
主な施設タイプとその特徴を以下に紹介します。
施設タイプ | 主な特徴 |
---|---|
特別養護老人ホーム | 公的施設、24時間介護、低コスト |
有料老人ホーム | 民間施設、多様なタイプ、充実したサービス |
グループホーム | 小規模、認知症専門、家庭的雰囲気 |
老人保健施設 | リハビリ中心、医療連携強化、在宅復帰支援 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 自立度高め、24時間見守り、外部サービス利用可 |
ホスピス施設 | 終末期専門、24時間医療・看護、症状緩和に強み |
特別養護老人ホーム
看取り対応が可能な主な施設タイプの1つ目は、特別養護老人ホームです。
特別養護老人ホームは、公的な介護施設として24時間体制の介護サービスを提供しています。
比較的低コストで利用可能であり、原則として要介護3以上の方が対象となります。
多くの施設で看取り介護加算の算定が可能であり、医療機関との連携体制も整っていることが一般的です。
入居者の状態に応じた個別ケアを行いながら、最期まで安心して過ごせる環境を提供しています。
有料老人ホーム
看取り対応が可能な主な施設タイプには、有料老人ホームも挙げられます。
有料老人ホームは、民間施設ならではの多様性と充実したサービスが特徴です。
介護付きや住宅型など、様々なタイプがあり、施設によっては看取り介護に特化したプランを用意しています。
医療機関との連携や看護体制が整っていることが多く、比較的自由度の高い看取りケアが可能な場合があります。
グループホーム
看取り対応が可能な主な施設タイプの中には、グループホームも含まれます。
グループホームは、認知症の方を対象とした小規模な居住環境で、家庭的な雰囲気の中で看取りケアを提供しています。
少人数制のため、個別ケアが充実しており、入居者一人ひとりの状態や希望に寄り添ったケアが可能です。
看取り介護加算の算定が可能な施設もあり、地域の医療機関と連携して看取りを行うことが多いです。
老人保健施設
看取り対応が可能な主な施設タイプの4つ目は、老人保健施設です。
老人保健施設は、リハビリテーションを中心とした施設ですが、看取りにも対応しています。
医療機関との連携が強く、看護師や理学療法士などの医療専門職が常駐しているため、医療ニーズの高い方の看取りにも対応できます。
在宅復帰を目指す方が多い中で、状態の変化に応じて看取りケアへ移行することも可能です。
サービス付き高齢者向け住宅
看取り対応が可能な主な施設タイプとして、サービス付き高齢者向け住宅も挙げられます。
サービス付き高齢者向け住宅は、比較的自立度の高い高齢者向けの住宅で、24時間の見守りサービスがあります。
必要に応じて外部の介護サービスを利用できるため、入居者の状態変化に柔軟に対応できます。
看取り対応を行っている施設もあり、個別性の高いケアプランを立てやすいのが特徴です。
ホスピス施設
看取り対応が可能な主な施設タイプの最後は、ホスピス施設です。
ホスピス施設は、終末期ケアに特化した専門施設で、24時間体制の医療・看護サービスを提供しています。
痛みのコントロールなど、症状緩和に強みがあり、心理士やソーシャルワーカーなど多職種によるケアが特徴です。
多くの施設で家族の宿泊や付き添いに対応できるため、大切な時間を家族と過ごすことができます。
まとめ:看取り可能な施設選びで大切なこと
看取り可能な施設のポイントを押さえ、適切な選択をすることは、人生の最期を穏やかに過ごすための重要な決断です。
体調急変時の対応能力、看取りの実績、施設内の連携体制、本人と家族への寄り添い方、看取り介護の方針、死後の対応という6つのポイントを慎重に検討しましょう。
また、各施設タイプの特徴を理解し、入居者の状態や希望に最も適した環境を選ぶことが大切です。
早めの情報収集と準備を行い、本人と家族にとって最適な選択ができるよう心がけましょう。