「地域包括支援センターとは?高齢者の困り事に対して一括相談できる施設」

誰もが住み慣れた地域で暮らしていきたいと思う中、「子供は遠くにいるので何かあったときに心配」「病気をしたけどこれからどうやって暮らしていけばいいのか」など悩みは尽きないことでしょう。地域包括支援センターは、全国に5221か所(支所を含めると7335か所)設置されています。(令和2年4月末現在)

地域の高齢者の安心や安全を守る拠点となっています。担っている役割や業務内容など具体的に解説していきます。


地域包括支援センターとは何をするところ?

介護保険では住み慣れた地域で生活していくために地域包括ケアシステムがいろいろなところで言われています。介護が必要になっても住み慣れた家で暮らしたい気持ちを大切にしていく。大切にしていく気持ちは重要ですが、言葉ばかりが先行して実際は何をどうすれば良いのかわからないことも多々あります。

地域包括支援センターは、生活支援や介護予防、病気になった場合の病院や介護サービスとの調整を行い、地域で住み続けるためにできることを一緒に考えています。高齢者福祉の総合窓口と言えます。


1-1担っている役割

主な役割は以下の4つがあげられます。

「総合相談支援」「介護予防ケアマネジメント」「権利擁護」「包括的・継続的ケアマネジメント支援」です。


1-2業務の内容

具体的な業務は以下のことがあげられます。

「総合相談支援」

困りごとの最初の相談窓口になります。地域包括支援センターの相談することにより、すぐに解決できるわけではありませんが、相談の中で解決の糸口を見つけることが可能です。

例えば、「最近、おじいちゃんが家の中でつまずくことが多くて困っている」という悩みの相談に対して地域包括支援センターとしては何ができるかを考えでいきます。

介護保険を利用していないようであれば、介護保険の仕組みや手続きの仕方などを説明します。地域で行われている健康教室への参加を呼び掛けも考えられます。高齢者に対する制度はたくさんあるが、困っていることに対して何をしたら良いか分からないという場合の助言を行っています。


「介護予防ケアマネジメント」

介護保険の要介護認定を受けた結果、介護予防の段階である要支援の人のマネジメントを行います。定期的な訪問の他、本人の意思を尊重しながら一緒にサービスを考えていま

す。

「権利擁護」

認知症などにより判断が難しくなった人や虐待を受けているケースについて高齢者の権利を擁護するという意味で権利擁護事業を行っています。地域包括支援センターだけで解決できる問題ではないため、必要な機関への働きかけ、成年後見制度では弁護士など専門職種へ引継ぎ、高齢者の人権を守る役割を担っています。

「包括的・継続的ケアマネジメント支援」

居住地域の福祉について考えていく地域ケア会議の開催、居宅介護支援事業所の介護支援専門員の困っていることに対しての助言や指導などの役割を担っています。

例えば、金銭トラブルや虐待、介護者が複数存在するなど問題が重なっている場合、要介護状態であってもなかなか居宅介護支援事業所単体で支援を考えていくことは難しいです。地域包括支援センターも一緒にケアマネジメントに携わり、複数の目で数カ所からの関わりを持ってマネジメントして支えています。


地域包括支援センターで働く専門家

地域包括支援センターの設置運営については、厚生労働省から通知が出されています。

原則は、「保健師」「社会福祉士」「主任介護支援専門員」です。


2-1 保健師

健康や医療、介護予防についての相談や助言、実際に介護予防の人に対してケアマネジメントが主な業務になります。


2-2 社会福祉士

介護や生活支援、金銭トラブルなど消費者被害に対して権利擁護に関することや福祉全体の相談窓口が主な業務になります。


2-3 主任介護支援専門員

介護全般に関わっており、介護支援専門員への助言や指導、困難といわれているケースへの対応など総合的なケアマネジメントが主な業務になります。


2-4 その他の専門職

経験のある看護師や高齢者保健福祉に関する相談業務に3年以上携わっている社会福祉主事などが支援業務に携わることもあります。専門分野でそれぞれ役割をもっていますが、単体で物事を進めるのではなく、地域包括支援センターではチームでの支援が求められます。


3.地域包括支援センターと居宅介護支援事業所の相違点

地域包括支援センターは、地域の高齢者に対して支援しているのに対して居宅介護支援事業所は原則、介護保険の認定を受けた要介護1以上の方の支援を行っています。

その他は下の表の通りです。



地域包括支援センター居宅介護支援事業所
働いている専門職・保健師 ・社会福祉士 ・主任介護支援専門員 ・その他の専門職・介護支援専門員 ・主任介護支援専門員
業務内容・地域福祉の総合窓口 ・介護予防ケアマネジメント ・権利擁護 ・包括的・継続的ケアマネジメント・担当利用者のケアマネジメント ・介護保険申請代行 ・利用するサービス事業者との連絡調整


地域包括支援センターは、地域住民の相談だけでなく、居宅介護支援事業所からの相談、助言なども行っています。


何でも相談できる地域包括支援センター

地域包括支援センターは福祉の最初の窓口です。何に困っているのかを一緒に考え、このサービスなら安心して生活ができるという次の役割を担う拠点への橋渡し的な存在です。またサービスを担う各々の拠点から困りごとや悩みの相談を受けることがあります。高齢者福祉の要であり、利用者からも事業者からも頼られる存在です。不安なことや悩みをそのままにせず、地域包括支援センターへ相談して次の一歩を踏み出しましょう。

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